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史上最高の映画:「市民ケーン」とは?・・・米西戦争へと傾いたアメリカの民意 [映画関連]




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今回も映画関連ですが・・・皆さん「市民ケーン」という映画はご存知ですか。映画好きな方は御覧になっている方も多いと思いますが。

この映画は史上最高の映画と呼ばれています。過去や現在を交互に見せるなどの作品構成、ワンカットの長回しのカメラ技術などなど、ひいては映画で強烈なメッセージを持つなど、後の映像作品に影響を与え続ける映画です。 

どの批評家や映画関係者の選ぶ、映画ランキングでも驚異的な記録をたたき出しています。

なんと!「映画批評家が選ぶベストテン」では2012年までの40年間ずっと1位に選ばれ続けた映画なのです。

 


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 オーソン・ウェルズ監督・主演「市民ケーン」。米国でも多くの物議をかもし出し、一方で史上最高の映画に選ばれている・・・どういう映画かあらすじを観てみましょう。


 

 ● 「市民ケーン」のあらすじ(ネタバレ注意) 

あらすじ wikiより引用:

”暗く荒廃した大邸宅の幾つものショットでこの映画は始まる[4]。屋敷の主、新聞王だったケーンが「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して死ぬ。彼の生涯をまとめたニュース映画の試写を見た経営者ロールストンは不満を持ち、彼の命を受け、編集のトムスンは、ケーンの最後の言葉の意味を探ってケーンに近かった人間を歴訪する。すなわち、2度目の妻で歌手のスーザン・アレクサンダー、後見人の銀行家サッチャー、ケーンの新聞「インクワイラー」のブレーン、バーンステインとリーランド、邸宅の執事の5人である。

ケーンの幼少の頃、宿泊費のかたにとった金鉱の権利書から母親は大金持ちになった。財産の管理と教育のためケーンは田舎の両親から離され、ニューヨークで育った。青年になったケーンは、友人のバーンステインとリーランドの協力を得て、新聞経営に乗り出す。センセーショナリズムによってケーンの新聞は売上を伸ばすが、友人たちはケーンの手法を批判する。しかし、彼は耳を貸さず、大統領の姪と結婚し、さらに上の権力を求めた。圧勝を予想された知事選挙の前日、歌手である愛人の存在をライバルにすっぱ抜かれたケーンは落選し、妻も彼のもとを去った。彼は愛人スーザンのために巨大なオペラ劇場を建設し、自分の新聞で大々的に宣伝したが、不評は覆うべくもなかった。悩んだ末に自殺未遂を引き起こしたスーザンは大邸宅に幽閉されたが、やがてケーンの元を去った。孤独のうちにケーンは死んだ。結局、トムスンに「バラのつぼみ」の意味は分からなかった。

だが、整理されて燃やされるケーンの遺品の中には「バラのつぼみ」と書かれた、彼が幼い頃遊んだ橇があった…。”

これのどこが物議をかもし出したのか?

 ● 市民ケーンのモデルとなった人物  

この映画の主人公・新聞王ケーンにはモデルが居ます。19世紀から20世紀にかけて実在した新聞王ランドルフ・ハーストです。この人は1898年に勃発したアメリカとスペインの戦争、いわゆる米西戦争を引き起こした張本人なんですね。

どういう事かと言うと、彼は彼の息が掛かった新聞で事実だけを伝えていたわけではなく、スペインを憎むような捏造記事をでっち上げ民意をコントロール。

スペインは大昔に世界をポルトガルと二分するくらいの覇権国家だったのですが、徐々に衰退していました。当時キューバにはスペインからの独立運動が起きていて、スペインは植民地・キューバの独立を阻止しようとしていた。

結果的にアメリカの介入により、スペインはキューバを失う事になります。このアメリカの介入を仕向けたのがランドルフ・ハーストだったのです。

ハーストはスペインがキューバに対して残虐行為を行っている(事実、行われていましたが)事について有ること無い事を新聞で報道。さらにはスペイン人がアメリカ人に対して暴行を行っているなどなど。

世論が高まり、米西戦争へと発展・・・

 ● なぜ米西戦争へと民意を仕向けたのか  

しかし、ランドルフ・ハーストはなぜ米西戦争へ民意を仕向けたのか?

それは、戦争が始まると新聞が売れる・・・つまり新聞を売りたかったのです!なんとも恐ろしい人物ですね・・・(現在のメディア王:ルパード・マードックのような方?)

このランドルフ・ハーストを批判的に描いたのが、この市民ケーンと言う映画です。

いかに金持ちになっても、権力を持っても孤独を抱えてこの世を去るなら不幸だよ!と映画で批判したんですね。

それもランドルフ・ハーストがまだ生きてるにも関わらず!

ただし、この映画は現在の評価とは裏腹に、興行収入的には大失敗。アカデミー賞 作品賞も獲れませんでした。

何故かと言うと、ランドルフ・ハースト系の新聞メディアからバッシングを受けて、映画館によっては上映中止にもなったほど攻撃されました。

現在は市民ケーンがアカデミー賞を取れなかった事について、アカデミー賞史上最大の汚点と言う評価になりました。 

  

 

この「市民ケーン」は後の映画技術やストーリー構成に多大な影響を与えたと言われます。

 

 

アカデミー賞作品賞にもノミネートされた、2010年デヴィッド・フィンチャー監督作品「ソーシャルネットワーク」は市民ケーンに挑戦する映画として話題になりました。

この映画は世界大手SNSのF×××bookの創設者の物語を背景に描いた映画で有名ですよね。


ソーシャル・ネットワーク [ ジェシー・アイゼンバーグ ]



ソーシャル・ネットワーク [ ジェシー・アイゼンバーグ ]



 

今回は、映画好きなら一度は観ておきたい映画「市民ケーン」の紹介でした。

 

 ● 関連日記  

・映画:ハリウッドの映画への自主規制(ヘイズコード)の背景・・・白人・キリスト教の優位社会(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21

・感動映画:ジムキャリー主演のマジェスティックから見える、戦後米国の映画事情・・・(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-10-19

・ハリウッドでユダヤ系がなぜ大きくなったのか? 米国映画史を考えてみると・・(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-08-22


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末尾ルコ(アルベール)

近年はヒッチコック「めまい」の映画史的評価がさらに上がっていますね。英米で選ぶとどうしても英米作品が多くなりますが、「東京物語」の不動の地位も驚くべきものがあります。

                       RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2015-10-25 17:48) 

don

この映画は「バラのつぼみ」がすべてかなと思ってます。
wiki・・・完全にネタばれですね^^;
by don (2015-10-27 22:04) 

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