映画:ハリウッドの映画への自主規制(ヘイズコード)の背景・・・白人・キリスト教の優位社会 [映画関連]
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前回、第二次大戦後の冷戦の始まりにおいて、米国映画の表現が制限されていた事を日記にしましたが
実は、第二次大戦前からハリウッドは映画表現に自主規制を掛けていたのですね。
ちなみに前回は第二次大戦後の赤狩りの話題でありましたが、第一次大戦ごろにも「赤狩り」行われていました。(第一次赤狩り)当時は世界中でスパイが暗躍していて、米国でもスパイ防止法などが作られていた。
さて、話を戻すとハリウッドは1930年からヘイズコードという自主規制をかけて、映画表現を制限していました。
元々はカトリック信者の記者とプロテスタントの神父さん(具体的にはキリスト教団体)が、映画に対する教育上の悪影響を考えてリストを作って持ってきたのですね。(簡単に言うとクレーム)
それを製作者側と修正していって自主規制を掛けていったのです。
それではヘイズコードの中身を見てみましょう。
● ヘイズコードの内容とは?
以下、wikiより引用
この制度は、いくつかの禁止事項と注意事項によって構成されている[1]。
以下の項目は、いかなる方法においてもアメリカ映画製作配給業者協会の会員が映画を制作する際に用いてはいけない要素である。
- 冒涜的な言葉("hell," "damn," "Gawd,"など)をいかなるつづりであっても題名・もしくはセリフに使うこと[注 1]
- 好色もしくは挑発的なヌード(シルエットのみも含む)または作品内のほかの登場人物による好色なアピール
- 薬物の違法取引
- 性的倒錯
- 白人奴隷を扱った取引
- 異人種間混交(特に白人と黒人が性的関係を結ぶこと)
- 性衛生学および性病ネタ
- 出産シーン(シルエットのみの場合も含む)
- 子どもの性器露出シーン
- 聖職者を笑いものにすること
- 人種・国家・宗教に対する悪意を持った攻撃
また、いかなる方法においても、以下の要素を用いるときは、下品で挑発的な要素を減らし、その作品の良いところを伸ばすためにも、細心の注意を払うようにすること
- 旗
- 国際関係(他国の宗教・歴史・習慣・著名人・一般人を悪く描かぬように気を付けること)
- 放火行為
- 火器の使用
- 窃盗、強盗、金庫破り、鉱山・列車および建造物の爆破など(あまりにも描写が細かいと、障がい者に影響を与えるおそれがあるため)
- 残酷なシーンなど、観客に恐怖を与える場面
- 殺人の手口の描写(方法問わず)
- 密輸の手口の描写
- 警察による拷問の手法
- 絞首刑・電気椅子による処刑シーン
- 犯罪者への同情
- 公人・公共物に対する姿勢
- 教唆
- 動物及び児童虐待
- 動物や人間に対して焼き鏝を押し付ける
- 女性を商品として扱うこと
- 強姦(未遂も含む)
- 初夜
- 男女が同じベッドに入ること
- 少女による意図的な誘惑
- 結婚の習慣
- 手術シーン
- 薬物の使用
- 法の執行もしくはそれに携わる者を扱うこと(タイトルのみも含む)
- 過激もしくは好色なキス(特に一方が犯罪者である場合は要注意)
以上、引用の終了です。
ヘイズコードの中身を見てみていかがでしたか?かなり面倒くさい規制・・・と言うよりかなりの表現規制をかけていますよね。
● ヘイズコードから見える米国内の人種問題
しかし・・よくよく観ると、かなり偏った内容もありますよね。「白人奴隷を扱った取引」の表現は禁止する。つまり、黒人奴隷は描いて良いと言う事ですよ。
これは・・・いかがなものでしょうか・・・?
時はめぐり、今は2014年公開映画「それでも夜は明ける」などアカデミーにもかかわるようになりました。
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※この作品は1841年の米国で実際におきた出来事を元に作られています。北部で普通に暮らしていた黒人男性が、いきなり誘拐されて南部に奴隷として売られるという所から物語りは始まります。
背景として、既に黒人を奴隷として輸入できないように法律が出来ていたため、こういったビジネスが行われていたのです。(当時の白人にとっては禁酒法の「酒」と同じ感覚だったのか・・・)当時、南部では車や家などの資産同様に扱われたそうですね。
・・・実際に、今でも米国では人種問題はデリケートな問題ですよね。
ヘイズコードの中身を見てもわかるように、当時もやはり白人優位社会、プロテスタントなどのキリスト教社会であって、それが当たり前だったのが事実ですよね(WASP優位社会)。
たまに「ユダヤがハリウッドを支配してる~」などなど陰謀論を信じている方がいますが、実際には弾圧されまくっていたわけです。
ハリウッド内のユダヤ系の方たちは、以前から自分達は少数派なので「弱いものいじめはいけないよね!?」など「弱い立場の人を助けるのは美徳ですよ!」など、自分達の立場を守るような道徳観の映画も作成していました。
米国は人種のサラダボールと言われるように、様々な人種と宗教者がいます。ある意味では、まさに世界の縮図と言う事でしょうか・・・
それだけに国の歴史も、米国映画の歴史はとても惹かれるのでしょうかね・・・(私自身は「アメリカ」自体を好きと言うわけではありません。)
※参考日記
・感動映画:ジムキャリー主演のマジェスティックから見える、戦後米国の映画事情・・・(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-10-19)
・ハリウッドでユダヤ系がなぜ大きくなったのか? 米国映画史を考えてみると・・(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-08-22)
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こんばんは
ハリウッド映画は やっぱり巨額な制作費用と
圧倒的な迫力ですよね
私はSF映画が一番好きですが 映画ってSF願望からできたもの
といえるのではないでしょうか
アメリカの 戦争映画は 「プラトーン」「地獄の黙示録」あたりから 変化が始まりましたよね 私はオリバー・ストーン監督好きです もう一つ「サルバドル/遥かなる日々」だったと思いますが
ジャーナリストの映画でしたがなかなかいい映画だったと思います それから 「プライベート・ライアン」「父親達の星条旗」
あたりですかね
戦争はどんな理由があってもやってはいけないことだといつも思います こうなるうだと思うとぞっとします
by エコピーマン (2015-10-22 19:45)