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「おおかみこどもの雨と雪」に見る、語り手・雪の問題は??信頼できない語り手なのか? [映画関連]




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前回の日記との関連。細田守監督作品、2012年公開映画「おおかみこどもの雨と雪」。若干のネタバレありです、はい。

 


 

前回の見方と全く違った解釈というか、この映画の特徴である「語り手」ものの映画について

この映画は冒頭のナレーションで「これは母から聞いた話」と言う感じで始まります。

つまり、聞いた話を語り手が話す、と言う構造になっています。「語り手」がいて「語り手が話す」と言うストーリー。

「語り手」。これが「おおかみこどもの雨と雪」の特徴で、こういった映画は厄介でクセモノであるわけです…。


 


 

どういう事かと言うと、語り手の話が事実かどうかは分からないと言う構造です。


文芸作品で有名な、いわゆる「信頼できない語り手」なのかどうか。
基本的に語り手というのは、
事実だけを語っているのか?


 

その人の背景から来る思想や思い込みがないのか?
 
あえて聞き手がミスリードしてしまうような表現をしていないのか?
などの様々な要素が含まれます。

 

 
 

私達の日常生活でも、例えば陰で人の悪口を言う人は事実だけではなく色んな背景がありますよね。その方との確執があったり・・・。

 


 

これを作品でも狙って作られる事も、オチとして利用される事もあるのです。


 

 


 

ミステリー作品や、文芸作品が好きな方は「語り手ものの作品」であれば、その語り手が「信頼できない語り手」なのか?と言う点を考えるワケです。
語り手は事実だけを伝えるワケではない、と言うのがミソ。
数多くの映画でも、語り手の話が真実ではないオチと言う作品は本当に多いです。
最近では、2013年日本公開映画、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した277日」と言う作品が代表的ですよね。
 




 

この「おおかみこどもの雨と雪」では現実とかけ離れた、かなり不思議な話ばかりが重なり合ったストーリー。特にアニメーション作品では、作品の世界観がかなり自由。
アニメーション映画の特徴として、実際には現実で起きようがない事が違和感なく表現されることです。だからこそ語り手モノのアニメーション映画は本当に解釈が難しいわけです。
 
その上で、いくつか不可思議な点を並べると、
母から聞いた狼男の父が本当に狼男だったのか?


 

狼男の父は本当に死んだのか?


 

雨と雪は本当に狼こどもだったのか??


 

花(母)は本当に、いつもニコニコのシングルマザーだったのか?


 

本当に弟の雨は人里離れた山で生活するようになったのか?



 

以前の日記で何度も書いてきた、何かの比喩や暗喩とも受け取れるワケです。
例えば、狼男であったという父は、いわゆる女をたぶらかした「おおかみ」だったんじゃないのかと言う点。
死んだと言われる父は、妻や子供たちを置いて出て行ったとも取れるワケで。そういった意味での「おおかみ男」は比喩としても成立するんですね。



 

聖母のような母、いつもニコニコ優しい母は子供たちに、自分の弱さを見せなかっただけではないか?
雨は家出をして、母が探しても見つからなかったのではないか?
などなど、とても現実的な事柄の比喩としても受け取れるワケです。



 

なかなか、難しいですが「語り手ものの映画」というのは、ソノ話が事実を伝えているのかは疑わしいと考える事が鉄則です。
ちなみに、2人の母である花と狼男である父が持っていた本が「黄色い本」と「世界史の構造」であるのも興味深いです。
少し…革命思想的な本でもありますが、この本の登場は何か意味があるんでしょうかねぇ…。



 

前回の日記と今回の日記も絡め、本当に多くの解釈があり、評論家達の中でも解釈に様々な論争もある「おおかみこどもの雨と雪」。 
また、細田監督も解釈については殆ど発言していないんですよね。しかし、そこがこの作品のとても良い所ではないでしょうか?



 

観てない方は、自分の映画の解釈はどうなのか?と、謎解き感覚で観ても面白いかもしれません。



 

細田守監督の作品では個人的に2006年公開映画、「時をかける少女」が1番好きです。


[Blu-ray] 時をかける少女


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※関連日記

・細田守監督:映画「おおかみこどもの雨と雪」 狼男の解釈は・・・?(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2016-01-11

・アナと雪の女王から見る:映画の3幕構成とは?(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

・宮崎駿作品・もののけ姫から見る:スタジオジブリの構成と設定(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-12-09

・感動:杉原千畝と第二次世界大戦 杉浦千畝の映画公開…公開日は?(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-11-09

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コメント 2

don

こんにちは~
>陰で人の悪口を言う人は事実だけではなく色んな背景がありますよね。
>その方との確執があったり

確執があったら、つい言っちゃいますよね。
自分から言わなくても、同調したりとか。

どうしても自分の利益が出る方に動くというか。
ま、人間だからしようがないかと思ってます。
だまっててストレスためるより、自然体の方がいいかなと^^

by don (2016-01-13 12:33) 

フォレスト

donさん>>
多いですよね;自分は不器用なので、そういう事は苦手です…
器用に立ち回れれば楽なのかもしれないなぁ、とか思う時もあります;
by フォレスト (2016-01-14 11:26) 

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