中東問題:映画「戦場でワルツを」から見える中東問題 [映画関連]
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昔あったレバノン内戦・戦争というものを知っていますか??
超々ややこしい内戦ですが、物凄い血で血を洗う歴史的内戦です。
レバノンは元々中東では珍しいキリスト教徒の多い国でした。第一次世界大戦でオスマン帝国(現在のトルコが主)の崩壊を期に、これまたフランスに占領されバランスを壊します。
この内戦下で起きたパレスチナ難民に対する虐殺を描いたのが、アリ・フォルマン監督:2008年公開映画「戦場でワルツを」。
この映画は少し変わっていて、実際にその場にいたフォルマン監督が当時の事を思い出せずに、記憶を取り戻す映画です。
その過程で当時の関係者にインタビューして回り、実際の音声を使用しています。ただし映像はアニメーションというのが画期的。
ちなみにこの映画はゴールデングローブ賞、アカデミー賞受賞作品の本当に名作です。
まず、フランス占領下で不可思議にもレバノンは国境を引き直され、シリアの領土まで含まれる事に。もちろんフランスがした事ですが、結果的に領土を拡大しました。
少し領土が大きくなった新しいレバノン(大レバノン)となり、元々のレバノンは「小レバノン」と呼ばれます。
しかし、領土が広くなったレバノンに元々はシリアにいたイスラム教徒が増えてバランスが悪くなるんですね。
フランスのいわゆる分断政策(フランスだけではありませんが)。多民族や多宗教の国民がいると、国民が団結出来ずに独立運動が起こりにくいという政策です。
イスラム教にもスンニ派とシーア派があり、イランがシーア派、それ以外の中東の国は基本的にスンニ派と覚えると覚えやすいかも。
レバノンはバランスをとるために大統領はキリスト教から、首相はイスラム教・スンニ派、国会議長はイスラム教・シーア派と決めていました。
ところが1970年代頃からバランスが壊れる事になります。
土台には1940年代のシリア・バアス党の誕生やアラブ王国の復興始め、イスラーム原理主義の誕生もありましたが…
まずはヨルダンからパレスチナ難民がレバノンに入ってきます。(ブラックセプテンバー事件)
するとイスラム教徒がまた増えて、レバノン国内の摩擦が顕著に…
・・・そして、1975年に内戦が始まります。
場所はベイルート。
意外かもしれませんが、戦場となったベイルートはグァムやハワイのようなリゾート地。
リゾートホテルが立ち並んでいたのですが、リゾートホテルを難民団体や各宗派の市民団体同士が占拠してしまいます。
そしてリゾートホテル同士からロケット砲を打ち合うなど、銃撃戦が行われるのです。
この時すでにレバノン国軍は各宗派の市民団体にバラバラに散ってしまう、という崩壊状態…
中立姿勢のシリアでしたが、お手上げ状態のレバノン政府から要請がある。シリアはパレスチナ難民とイスラエルの衝突を恐れて軍事介入。(この時点で3つ巴?4つ巴?)
一時は落ち着いたものの、同じイスラム教国のシリアが介入した事に「裏切者」と激怒。対するレバノン内のキリスト教系はバシールを筆頭にレバノン軍団を結成。
レバノン軍団は反シリア・反パレスチナ難民団体を旗印にイスラエルに軍事介入要請。
さらに中東にイスラム教の国以外が出来ると、イスラエルは中東で孤立化しないと考える。レバノン軍団を中心としたレバノン政権を作ろうと、イスラエルはこれに参戦。
イスラエルの支援を受けたバシールは大統領になるものの、パレスチナ難民団体に暗殺されてします。
これに反発したレバノン軍団は、パレスチナ難民キャンプで歴史に残る大虐殺をおこしたのです・・・。
だいぶ長くなりましたが、映画「戦場でワルツを」の背景と概要です。
面白い事にこれはイスラエル映画で、ユダヤ人のアリ・フォルマン監督が作った反戦、イスラエル批判の映画です。実際にイスラエルは虐殺に加担したわけです。
中東の雄:イスラエルにも右から左がいて、国民も本音は戦争はしたくないのだと思います。このレバノン内戦で15万人が命を落としたと言われます。
そしてこの戦争で有名なイスラム過激団体「ヒズボラ」が誕生しました。
現在でもシリアを始め、泥沼の中東問題。平和はいつ来るのか・・・。
※参考日記
・シリア問題の根幹はヨーロッパ?・・・シリアとイラクは同じ国だった(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-12-02)
・フランス・同時多発「テロ」の雑感…フランスだけが被害者なのか??(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-11-29)
・ユダヤとキリスト、イスラームとの関係・・・ユダヤを知ると映画が面白くなる!?(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-10-05)
・米国映画に見る アメリカにおけるキリスト教とユダヤ教の根深さ・・・(http://forest-jiji-daiary.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05)
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by 逆襲のXPERIA (2015-12-05 06:15)